サッカーは世界共通のスポーツですが、実は「年代」によって試合形式が異なります。特に小学生年代(U-12)では「8人制サッカー」が主流。一方で中学生以上になると「11人制」に移行します。
「人数が違うだけでしょ?」と思われがちですが、実はルール・戦術・ポジションの考え方まで大きく変わるんです。この記事では、8人制と11人制の違いをわかりやすく整理し、「なぜ小学生は8人制なのか?」までを詳しく解説します。
8人制サッカーとは?小学生年代のルール
8人制サッカー(8人制=8vs8)は、日本サッカー協会(JFA)が小学生年代(U-12)で推奨している試合形式です。
主なルール・特徴
- 人数:1チーム8人(フィールド7人+ゴールキーパー1人)
- ピッチサイズ:約68m×50m(11人制の約2/3)
- ゴールサイズ:横5m×縦2m(11人制より小さい)
- 試合時間:20分×2(または15分×2など)
- オフサイドあり:ただしラインは簡略化されている
このルールは、子どもたちがより多くボールに触れ、プレーの機会を増やすために設けられています。つまり「技術の習得と判断力の育成」を目的とした設計なのです。
11人制サッカーとの主な違い
次に、中学・高校・プロでも採用されている11人制との違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | 8人制 | 11人制 | 
|---|---|---|
| チーム人数 | 8人 | 11人 | 
| フィールド | 約68×50m | 約105×68m | 
| 試合時間 | 40分前後(20分x2) | 90分(45分×2) | 
| ポジション構成 | 少人数・シンプル | 多様で専門性あり | 
| 戦術の幅 | 限定的 | 広範囲・多様 | 
| ボールタッチ数 | 多い | 少ない(分業制) | 
人数・ピッチの広さが変わるだけで、選手一人あたりの役割は大きく違ってきます。8人制では「全員攻撃・全員守備」が基本。一方11人制では、ポジションごとに明確な専門性が求められます。
戦術面での違い:8人制は「育成」、11人制は「戦術構築」
8人制の狙い:「判断力とボール技術を磨く」
8人制では、1人あたりのプレー範囲が広くなります。そのため、攻撃にも守備にも積極的に関わることができ、「サッカーの原理原則(攻守の切り替え・スペース活用など)」を自然に学べます。
また、少人数のためボールに触る回数が多い。これは育成年代で非常に重要です。判断力・キック精度・パススピードを実戦で何度も試す機会が得られます。
11人制の狙い:「チーム戦術と役割理解」
一方、11人制になると、ポジションの専門性が高まります。フォーメーション(4-4-2、4-3-3など)を理解し、連携や守備のラインコントロールといった戦術理解が重要になります。
つまり、
8人制=サッカーの「基礎を学ぶ」ステージ
11人制=サッカーの「戦術を深める」ステージ
という明確な違いがあるのです。
ポジションごとの役割の違い
8人制の基本ポジション例(2-3-2または3-3-1など)
- GK(ゴールキーパー)
- DF(ディフェンダー)2〜3人
- MF(ミッドフィルダー)3人
- FW(フォワード)1〜2人
ポジション間の距離が近いため、全員が攻守に関わる展開が多くなります。攻守の切り替えスピードが速く、「判断の速さ」と「運動量」が重要です。
11人制の基本ポジション(4-4-2など)
- GK
- DF(4人)
- MF(4人)
- FW(2人)
役割がより専門的になり、サイドバック・センターバック・ボランチ・ウイングなど細分化されます。「ポジションごとの動き方」を理解しないと、チーム戦術が機能しません。
8人制から11人制へスムーズに移行するために
小学生が中学で11人制にステップアップする際、次の3つの力が求められます。
- 広いピッチでのポジショニング感覚
 → スペースを意識してプレーする練習を。
- 仲間との連携プレー
 → コミュニケーション力と戦術理解を伸ばす。
- 体力・スピードの強化
 → 走行距離が増えるため、基礎体力が必須。
この移行期をうまく乗り越えることで、「試合で考えて動ける選手」へ成長します。
なぜ小学生は8人制なのか?JFAが重視する「育成理念」
日本サッカー協会が8人制を採用する理由は明確です。
- ボールタッチ回数を増やす(=技術向上)
- 判断する機会を増やす(=思考の成長)
- 体格差の影響を減らす(=公平な育成)
つまり、勝敗よりも「育成重視」の設計なのです。この考え方はヨーロッパの育成年代(U9~U12)でも共通しており、国際的にも標準化されています。
まとめ
8人制と11人制の違いは、単なる人数やピッチサイズの差ではありません。それぞれのステージに明確な目的があり、成長段階に合わせて設計されています。
- 小学生(8人制)=技術と判断力を磨く時期
- 中学生以上(11人制)=戦術理解と役割分担を学ぶ時期
お子さんがサッカーを続けるうえで、どちらの段階でも「楽しみながら学ぶ」ことが何より大切です。

 
  
  
  
  